潜入!彼らの日常


その日、その家がよく見渡せる土地に、どうみても怪しい人間が張り込みをしていた。
その怪しげな人間は日立 和弥。
櫻花高校の新聞部員である。

「ふっふっふ、この僕に不可能はない!!」
はっ!なんか最近僕、桶那先輩に似てきたような。
まあそんなことはいいんだけど、今日は僕、その桶那先輩に頼まれて、僕達の敵である鳳先輩たちのことを調べにきてるんだ。
なんでも敵に関する情報が足りないとかなんとかで。
まあ、僕にかかれば調べは完璧さ。

ちなみに今は鳳先輩の家の見渡せるところから、双眼鏡片手に張り込み中。
時刻は朝の‥‥‥5時。
‥‥‥眠い‥‥‥。
だけど早起きしたかいあって、まだ誰も起きてな‥‥‥!?
あ、あれは鳳先輩じゃないかっ!なんでもう起きてるかなぁ。
ん!?しかも朝食食べてる!!?
いったい誰が作って‥‥‥‥。
あ、氷鏡先輩だ。
もしかして氷鏡先輩、すでに用意して待ってたとか?この時刻に
あっはっは、まさか‥‥‥‥ねぇ。
‥‥‥一体何時に起きてるんだ!!?

その疑問は一時置いといて、とりあえず声を拾わないと。
え?その機械はなにかって??
これはねぇ、盗聴機さ。ちょっと前にわざわざ宅急便のバイトして荷物を届けたとき、
鳳先輩の家に取り付けていったのさ。
なかなか荷物がこないから僕が自費でお中元買って送っちゃったよ。
ちょっと高かったなぁ、桶那先輩に請求書送るか??

さて朝ご飯はなんだろう。
味噌汁とご飯と漬物、納豆その他もろもろの普通の朝食だな。
ふむふむ。
お?鳳先輩が朝食を終えて立ちあがったぞ。
どこへ行くんだろう。

あ、やっと盗聴機つながったぞ!どれどれ。
「魁士様、これから練習ですか?」
「ああ、もう道場は開いているか?」
「はい、さきほど開けておきました」
「いつもすまない」
「いえ」
おいおい、これじゃ熟年夫婦の会話だよ。いつもすまないねぇ、みたいな。
まあそれはよいとして、まさかこの朝早く練習なのかな。
鳳先輩だからもちろん剣術の練習だよね。
彰先輩にもつめのあか煎じて飲ませたほうがいいんじゃ??
それにしても彰先輩なんで鳳先輩と互角かなぁ。
謎だよね。

お?氷鏡先輩はこれから片付けか。
えらいなぁ、ああいう人が妻だったらいいだろうな〜。
はっ!ドリームに浸っている場合じゃなかったっ。
えっと、鳳先輩は道場で熱心に稽古、と(メモメモ)
氷鏡先輩は‥‥‥あ、またお膳の上に食事を用意してる。
あれは蒼刃先輩のだよね、きっと‥‥‥‥。

あ!ウワサをすれば蒼刃先輩じゃないか。
ありゃあ起きたばっかりだなぁ。しかもパジャマで‥‥‥‥。
よし!写真を撮って誰かに売ろう!蒼刃先輩の起き抜け写真ゲット!!
顔良いし売れるだろうなぁ(ニヤリ)
でもばれたら殺されるかな‥‥‥‥‥。
と、とりあえず彩音にでも売っとくか。美青年大好きだし。
いざとなったら三科さんが‥‥‥‥いや、怖いことを考えるのはやめよう。

さて声を‥‥‥‥
「おはよう、姉さん」
「おはよう。朝ご飯できてるわよ。食べなさい」
「はい」
な、なんかさっきから思ってたんだけど、氷鏡先輩が全権を握ってるって感じしてならないんだよね。
雰囲気的にさ。
蒼刃先輩が起きてくる時間がわかってたっぽいし‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥な、なんかちょっと怖い‥‥‥‥‥。
結婚したら間違いなくかかあ天下だろうなぁ。

というかその前になんでこの家の人はこんなに早起き!?
まだ6時にもなってないのにっ。
うちのヤツら、彩音を筆頭にみんな起きないやつばっかりだから、なんか見ててちょっと新鮮だよね。
特に桶那先輩なんて朝ちゃんと起きるけど、たいてい目の下にクマ作ってるし。
きっと「東京の謎は俺が〜〜!!」とか言いながら徹夜してるんだろうなぁ。

いや、まあそれはいいとして、蒼刃先輩が朝食を食べてるうちに鳳先輩が練習を終えてでてきたみたいだ。
どれどれ‥‥‥‥
「ああ、魁士さん。おはようございます。今日もお疲れさまです」
「おはよう。今日は体調があまりよくなくてな。どうも技のキレが‥‥‥」
「あら、魁士様。お風邪とはめずらしいですね」
「どうしたことか今日は目覚めが悪かった」
「今日も確か剣道部の朝練では?」
「それにはもちろん行くつもりだ。そんなに悪くもないしな」
う〜、やっぱり鳳先輩がんばりやだなぁ。ちょっと感動しちゃったよ。
こう考えると彰先輩は感動より笑いを振りまく人だよね。
まあどうでもいいけど。

あ、鳳先輩は学校へ行く用意してる。
そんなうちに蒼刃先輩も朝食食べ終ったみたいだね。
それで氷鏡先輩が後片付け、と(メモメモ)

「それでは行ってくる」
「お気をつけて」
「今日は私、仕事があるので少し遅くなります。夕飯は8時くらいになりますから」
「うむ、わかった」
おおっ、一家総出で鳳先輩をお見送り!
さすがだ‥‥‥。でも6時半だよ、まだ。
へぇ氷鏡先輩、仕事なんかしてるんだぁ。ふむふむ(メモメモ)

で、その後、え〜7時半に姉弟そろって学校へ行くんだ。そういえば同じ学校だもんね。
しかし仲のいい姉弟だなぁ、ちょっと感動☆
あぁ、なんか僕さっきから感動してばっかり。
やっぱりあっち側にいると神経おかしくなっちゃうのかなぁ。

さて、僕は秋月姉弟を追わないと!
え?鳳先輩はどうするんだって??
それは他の新聞部員が追ってるはずだよ。
僕1人じゃさすがに全員追うのは無理だから。
ちなみに新聞部員を説得してくれたのは部長なんだけど、その部長を説得したのは僕!
部長は彰先輩のファンだから生写真とサインをあげればなんでもオッケーさ!!
部長、男だけどね‥‥‥‥。
彰先輩こういう時にしか役にたたな‥‥‥‥あ、今の内緒で‥‥‥‥。

ん?電話だ。蜃桧さんを張っていた部員から連絡みたいだけど‥‥‥。
「もしもし?え??わ、わかった。とりあえずそのままよろしく」
どうやら蜃桧さんはまだ寝てるみたい。
っていうかまだ寝ていて学校に間に合うのか!?

ま、まあいいや。僕は尾行尾行っと。
いや〜、それにしても僕ってすごいなぁ。
学校休んで尾行して、他の区の学校の制服まで手に入れて、電車で追い掛けるなんて‥‥‥これってストーカーじゃんっ!
いや、僕は目的があって‥‥‥‥‥ブツブツ。
なんて考えているうちにもう楓橋高校についちゃったよ。

さ、さすが有数の進学校‥‥‥造りが違うぞ。
この高校の制服着てるけど、ばれないかなぁ。ちょっと心配‥‥‥‥。
しっか〜し!こんなところでめげていては任務は遂行できないぞ!!
よし潜入っ!!


‥‥‥ふ〜、なんとか潜入できた。
お?どうやらクラスは違うみたいだな。
じゃあまず氷鏡先輩のクラスをのぞいてみようかな。
「おはよう氷鏡!」
「おはようございます(微笑)」
「ところで今日の英語の訳、当たるんだけど教えてくれない〜〜??」
「ええ、いいですよ」
うわ〜、なんか普通‥‥‥っていったら失礼か。
なんかもっと違うものを想像してたけど、ホントに普通の風景だよね、これって。

じゃあ蒼刃先輩は??
「よっ、蒼刃。今日も姉君と登校してうらやましいやつだっ!」
「俺とかわれよ〜〜!!」
「命がなくなってもいいなら別に変わってもいいけど」
こっちも意外に普通だ‥‥‥。僕、蒼刃先輩のこと破壊魔(!?)だと思ってたからこれはかなり意外だな。
絶対孤独な一匹狼だと思ってたのに‥‥‥‥。

お?電話だ。
「え?鳳先輩は朝練を終えた‥‥‥ふむふむ、わかった。じゃあまた」
すごいがんばってるんだなぁ。うっ、涙がっ。
時に蜃桧さんはまだ寝てるのか‥‥‥‥?
そんなまさかっ、あっはっはっは‥‥‥‥‥。

と、とりあえずここでは普通の生活なんだな。ホントに。
もうちょっと張り込んでみるかぁ。

うっ‥‥‥、この人たちは進学校の中でもトップクラスなんだ‥‥‥‥。
頭よすぎ‥‥‥‥。
あ〜あ、僕こっち側にいれば普通人になれたかも‥‥‥‥。
だってあっち側なんかみんな普通とはかけ離れてるし、勉強できる人は数人いるけど、なんか変だし‥‥‥。
桶那先輩の授業一度見にいったことが(潜入したことが)あるけど、授業中もシャウトしてるんだよねぇ。
彰先輩はそのまんまだし、彩音は常識人に見えて全然違うし、翔は見たまんま変だし。
唯一普通なのは恵先輩だけかぁ。
あ、だけどたまに壊れるんだよね、恵先輩‥‥‥‥。

はっ!そうじゃなくって!!
学校では普通の生活してるってわかった。
連絡によると鳳先輩も剣道の特待生で柳条高校に入ったけど、頭はいいみたい。
さすが!
あ、蜃桧さんはちゃんと学校に来たみたい。
午後に近い時間だったみたいだけど‥‥‥‥。
鳳先輩と少し話をして帰ったって。
どこかに遊びにいったのかな。

あっ!姉弟は帰りは別々に帰るんだ。
じゃあ僕は蒼刃先輩を追いかけようかな。
あ、別にいいショットをとったら売れるとか思ってるわけないさっ!!

さ、さて、氷鏡先輩は他の部員に任せて、と。
でも2人とも部活とかやってないんだ。
蒼刃先輩はどこ行くのかな‥‥‥‥にしても足早いなっ。
足の長さの違いかっ!?あ、なんか落ち込みそう‥‥‥‥。
いや!気を取り直してっ。

ん?蒼刃先輩結構オシャレな喫茶店に入っていったけど‥‥‥‥誰かと秘密の密会か!?
って、消えちゃったよ、蒼刃先輩‥‥‥どこだろ。
と思ったらなんとまあ!!蒼刃先輩いつの間にか着替えて注文とってるよ!
へぇ、こんなところで働いてるんだ‥‥‥‥。
しかも格好がちょっと、ほら、パーティーとかで飲み物運んでるお兄さんみたいな格好なんだよね(わかりにくいっ)
つまりタキシードみたいなそうじゃないような‥‥‥‥そんなやつ。
意外に似合うんだなぁ、ああいう格好。
しかも足長〜〜〜〜いっ
かっこいいなぁ。と見愡れたところで一枚ゲット!
彩音に売ろうっと☆
い、い、い、いざとなったら三科さんに‥‥‥いや、それはもういいや。
考えると恐ろしい‥‥‥‥。

しかしまともに働いているみたい。
破壊魔なのに‥‥‥‥(思い込み)
あれじゃあ結構蒼刃先輩目当てでくる人いるだろうなぁ。
顔だけの彰先輩とは大違い‥‥‥‥‥はっ!今のも内緒でっ

さてと、氷鏡先輩はどうしただろう。
「氷鏡先輩は?えっ!?ほ〜、わかった」
氷鏡先輩は催眠療法やってる小さな医院で働いてるらしい‥‥‥‥。
部員が潜入して調べたところ‥‥‥‥潜入とは、やるなっ!
じ、じゃなくて、その医院長が氷鏡先輩の催眠術の師匠らしい。
どんな会話してるのか気になるなぁ、あっちに行けばよかったか!?
でも潜入したら顔でばれるから意味ないか‥‥‥‥。

あ、鳳先輩はなにしてるんだろ。
「もしもし。ええっ!?さ、さすが‥‥‥‥、じゃああと頼むよ」
鳳先輩は剣道部がお休みでまっすぐ家に帰ったんだけど、自分ちの道場でまた練習だって!
すごすぎるよね。
うっ、目頭が熱く‥‥‥‥。感動☆

で、蜃桧さんは‥‥‥‥
「なにっ!?消えた!!?もっとよく探してくれっ」
ということで消えました‥‥‥。どこいったんだろう、ホントに。


お?また電話が‥‥‥
「はい、もしもし。え?氷鏡先輩仕事終った?はいはい」
えっと、今は午後の6時半。氷鏡先輩、仕事終ったらしい。
しかも帰りにスーパーで夕飯の買い物だって。
ちょっと主婦??

蒼刃先輩はというとまだバイト中だな。
何時までやるんだろ。

‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥

もう9時だよ。
蒼刃先輩、やっと仕事終ったみたい。
でも夕飯どうするんだろう。家をでるまえ氷鏡先輩は8時にご飯って言ってよね。

しかもそれから帰って、鳳家についたのが9時半くらい。
「ただいま」
「おかえりなさい、蒼刃」
「おかえり」
うわ〜、なんか鳳先輩父親みたい。なんとなく‥‥‥‥。
「ごめんなさい、蒼刃。朝はあなたが仕事だってこと忘れてて‥‥‥」
「ああ、まだ食べてなかったんだね。別に待ってなくても‥‥‥」
「何を言う。食事は全員揃って、それが鳳家のルールだろう?」
「‥‥‥そうでしたね」
ううっ!なんて感動の物語なんだっっ!!!!
僕は涙が止まらないさ〜〜〜!
良い家庭だよね☆

あ、時に蜃桧さんは??
「そっちの様子は?えっ!?いた!!‥‥‥そ、そう。じゃあ今日はお疲れさま」
蜃桧さん見つかったってさ。
どこだと思う?
‥‥‥‥彩音の家だって。
蜃桧さんは学校終ってから彩音の家にいったみたい。
彩音の家の辺り、入り組んでるから見失うのもわかるけどね。
う〜ん、これだったら彩音に尾行を頼めばよかった‥‥‥‥かな?
いや、それはちょっと無謀か。


まあとりあえずちゃんと全員のこと調べたし、感動もしたし、あとは桶那先輩に報告するだけ!
電車に乗っていざ桶那先輩の家へ〜!
う〜ん、僕って働き者だよね。

ピンポーン

「こんばんわー、桶那先輩」
「お、和弥。調べてきたのか?」
「はい。これが彼らのデータです」

――豊がデータに目を通しております。しばらくお待ち下さい――

「な、な、な、なんだこれはーーーーーーっ!!!!」
「な、なにって報告書に決まってるじゃないですかぁ」
「俺が頼んだのは彼らの生活データじゃなくて、彼らの能力データだ!」
「ええぇぇぇぇぇぇ!!!」
「やりなおしっ!」
「うっ、鬼部長みたい‥‥‥‥(ボソッ)」
「何か言ったか?」
「い、いえなにも‥‥‥‥」
ううっ、がんばったのに〜〜〜〜。
どうやらちょっと調べること間違えたみたい。

「ん?この紙は‥‥‥?請求書!!!!?しかも五千円!!!?」
桶那先輩が見たのは明らかに盗聴器を仕掛けるのに僕が買ったお中元の請求書だ。
「あ、それ必要だからお中元買ったんです。だから請求書☆」
「お中元っ!!?お前うちにも送ってないくせにっ!
いや、それはよいとしてっ、せめて千円の安いのにしとけ〜〜〜〜〜!」
「そうでしたね、あははっ」
そりゃあ気づかなかったよ。
だって鳳先輩の家よさそうな家だったから自然に五千円のを‥‥‥‥。
あっはっは、まあいいかっ。
「和弥〜〜〜〜〜〜!!!!!」
相変わらず近所迷惑してるなぁ、桶那先輩ってば。
さて、僕は逃げるかっ。
明日また張り込みしなくちゃいけないしね。
さあ、明日も早起き早起きっと。







ひいぃぃぃぃ!なんでしょう、これはっ!(汗)
6789HITしてくれたあとり様への捧げものだったんですが、
頼まれたのは蒼刃たちの日常だったはず‥‥‥。
なのに和弥の奮闘記みたいになってしまってっ(汗)
ううっ、ごめんなさいっ
なにはともあれ、ゾロ番ヒットありがとうございました!

あとりさんのページはこちらです
『AZURE CAGE』



目次へ




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送